2007年08月05日

ジェネシス:Supper's Ready

Foxtrotサパーズ・レディ」はジェネシスの4枚目のアルバム「フォックストロット」に収められている22分54秒の大作である。7部構成からなるこの曲は、壮大な楽曲の中に、黙示録のテイストを盛り込んだ複雑な歌詞で成り立つもので、当然ここで語り尽くせるようなものではない。ここでは、『ピーター・ガブリエル正伝』『フールズメイト Vol.11』『ストレンジ・デイズ No.67』『The Genesis Songbook』を参考に、「サパーズ・レディ」の輪郭を我龍で彫り刻んでみたいと思うのだ。



ピーター・ガブリエルが「魂をこめて、命がけで歌ってた」という「サパーズ・レディ」だが、それは、ガブリエルが当時の妻ジルとプロデューサーのジョン・アンソニーとともにいたときに見た幻覚がきっかけになっている。風もないのにカーテンが広がり、部屋の中が凍りつくぐらい寒くなる。外の芝生に白いマントを着た人影がいくつも見える。部屋全体の雰囲気が変わってしまったとき、ジルはトランス状態に入り、まるで霊媒にでもなったみたいに変な声で話し始め、まるで獣のように見えた。ガブリエルはこう語る。

あの時点で悪という感覚を経験しました。ぼくの中にそれがどれくらいあるかは分からないし、実際悪というものがどの程度はびこっているのかは分からないけれど、忘れられない経験ですし、善と悪の対決を描くきっかけになりましたね。

このガブリエルの体験が、パート1「Lover's Leap」の歌詞となって表れる。愛する二人はお互い相手を見失い、別の男女の体となって再会したという。



Peter mask ガブリエルが思索した善と悪とは何だったのか。それを解く鍵が、ジェネシスのライブ・ステージでガブリエルが語る創作寓話にある。そもそもこうした創作寓話は、楽器のチューニングや機材の故障を直す時間稼ぎのために始められたのだが、歌詞内容を補完するものになっていることも事実だ。「サパーズ・レディ」の演奏前には、「年老いたマイケル」の話が語られた。

年老いたマイケルは、決して閉ざされることのない公園の中へと、決して開くことのないペット・ショップへと歩いていった。その公園は、スムーズに行き届いていて、非常に清潔な草が一面に生えていた。マイケルは服を全部脱ぎ、そして彼のピンク色のぐにゃぐにゃした肉を濡れた清潔な草の中へこすり始めた。その地面の下では汚い茶色い虫たちが降雨のようにパラパラと演奏していた。虫たちの世界では、降雨は2つのことを意味していた。“バス・タイム”――なぜって虫たちは清潔にしているのが好きだから。そして“からまる時”――なぜって虫たちは汚くしているのが好きだから。ちょっとの範囲内、その公園は不潔なじめじめした身もだえする茶色の虫たちで覆われていた。年老いたマイケルは短い曲を鼻歌で歌うことに満足しきっていた。我々にとって「エルサレム・ブギ」であるものが、小鳥たちにとっては「夕食の準備が整った(Supper is Ready)」ということを意味していた。

閉ざされることのない公園と開くことのないペット・ショップ、清潔な草と汚い茶色い虫――対照的なシチュエーションの中で、虫たちにとっての降雨の両義性が語られる。そして、人間たちの“エルサレム・ブギ”が小鳥たちの“夕食の準備”となっているといった、価値観の相対性が提示される。善悪の価値観も、所詮は社会的観念に左右される相対的なものでしかない。



Peter flower Peter box 73年、74年と2年連続で、メロディ・メイカー紙のベスト・ライブ・アクトにジェネシスは選出されているが、この「サパーズ・レディ」を理解する上でも、ジェネシスのライブ・アクトは外せない。「サパーズ・レディ」のライブ・ビデオについては、ここにまとめておいたが、ここで重要なのは、やはりガブリエルのパフォーマンスである。「サパーズ・レディ」は、次のようにパフォーマンスが展開される。

パート2の「The Guaranteed Eternal Sanctuary Man」で、ガブリエルは茨の冠を着ける。パート5の「Willow Farm」では、曲想が大きく変化するが、そこでガブリエルが着けるのはフラワー・マスク。花に変身したナルシスと重なる。その後、8分の9拍子のリズムとともに、曲は力強いクライマックスへと向かうが、そのパート6「Apocalypse in 9/8」では、ガブリエルは反キリストを示す赤い幾何学的な形をした箱を頭にかぶり、黒いマントを着けて登場する。最後のパート7「As Sure As Eggs Is Eggs」に近づくと、そのかぶり物とマントを投げ捨てて、下から天使のようにまぶしい白の衣装を見せる。そして、最後の一節「彼らを新しいエルサレムに連れて行け」と歌ったあとには、紫外線を発光するチューブをかざす。

これらのパフォーマンスは、歌詞を補完するだけではなく、「サパーズ・レディ」の世界観を明確化していくものと言えた。



Apocalypse in 9/8」で提示された黙示録の風味が、「As Sure As Eggs Is Eggs」ではさらに色濃くなる。そこでは『ヨハネの黙示録』第19章が引用されている。

また見ていると、ひとりの御使が太陽の中に立っていた。彼は、中空を飛んでいるすべての鳥にむかって、大声で叫んだ、「さあ、神の大宴会に集まってこい。そして、王たちの肉、将軍の肉、勇者の肉、馬の肉、馬に乗っている者の肉、また、すべての自由人と奴隷との肉、小さき者と大いなる者との肉をくらえ」。――『ヨハネの黙示録』 19:17-18

ここで「Supper」は「神の大宴会(the great supper of God)」の意味となる。創作寓話で提示された「小鳥の夕食」は、「神の大宴会」へと変貌を遂げたのだ。我々は果たして、花嫁のように着飾った新しいエルサレムを見ることができるのだろうか。

 Genesis : Supper's Ready 1973 (1)
 Genesis : Supper's Ready 1973 (2)
 Genesis : Supper's Ready 1973 (3)
 Genesis : Supper's Ready Live on Belgian TV

banner_03.gif

Genesis:Supper's Ready ※画像をクリック
ジェネシス Genesis / Foxtrot
ジェネシス Genesis / Seconds Out
ジェネシス Genesis / Platinum Collection
posted by 上村龍司 at 00:19| Comment(0) | TrackBack(0) | プログレッシブ・ロック | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月02日

レッド・ツェッペリン:天国への階段

Led Zeppelin IVワシが高校のとき一番多く聴いたのは、レッド・ツェッペリンの「天国への階段Stairway To Heaven)」、大学のとき一番多く聴いたのは、ジェネシスの「サパーズ・レディ」だった。この2曲がロックの名曲であることは間違いないが、この2曲について何か書いてみようと思うのだ。まずは「天国への階段」である。

「天国への階段」については、ウィキペディアの記事「天国への階段(楽曲)」と、『レッド・ツェッペリン――天国への階段』(シンコー・ミュージック)、『ストレンジ・デイズ No.65』、『アエラ・ロック・ハード』を参考にして、我龍でまとめてみたい。



天国への階段」が入っているレッド・ツェッペリンの4枚目のアルバムは、ジャケットにタイトルもグループ名も何の文字もないが、これは「純粋に音楽だけで勝負したい」という彼らの熱意を表している。内袋に印刷された4つのシンボル・マークが謎かけとしてとらえられ、このアルバムは「ルーン・アルバム」、「ZOSOアルバム」、または「レッド・ツェッペリンW」、「ステアウェイ・アルバム」などと呼ばれたが、メンバーの間では「フォー・シンボルズ」と呼ばれていた。

ロバート・プラントのシンボルは、自らがデザインしたもので、ムー大陸の神聖なシンボルから描き出したもの。インディアンの間では羽毛を勇気の象徴としている部族も多いという。ジョン・ボーナムのシンボルは、古代ルーン文字の書物から選んだもので、三つの輪は「男・女・子供」を指し、三位一体を連想させる。ジョン・ポール・ジョーンズのシンボルも、古代ルーン文字の書物から選んだもので、自信に満ちた有能な人物を表す。ジミー・ペイジのシンボルは、自らがデザインしたもので、それが“ZOSO”という単語だと受け取られたが、実際は別物のつもりだった。そして、こうしたタイトル云々といったものがマスコミを混乱させる作戦の一つにすぎなかったと明かしている。

表ジャケットに使われた老人の絵画はプラントが手に入れてきたもの。その絵画が廃墟の壁に掛けられ、裏ジャケットではその廃墟の壁の向こうに、取り壊されるばかりとなった公営住宅とそびえ立つ高層建築といった再開発中の街が描かれる。これは、自然と調和した状態にある薪を背負った老人が、山小屋を撤去され、都会のスラムに無理矢理住まわされてしまう様を表すという。内ジャケットには、岩山の上に立つ隠者とそれを仰ぎ見る若者が描かれる。タロットカードで隠者は“一歩退いたり、熟考したりすることなく、現行の道をそのまま進むことへの特別な警告”とされ、その隠者が“真実と啓示の光”を、ふもとにいる若者にかざしている。内袋には、4つのシンボルと曲名、そして「天国への階段」の歌詞が記されている。



フォー・シンボルズ』は、1971年の初め、ハンプシャーの田園地帯にある邸宅ヘッドリィ・グランジに、ローリング・ストーンズ所有の移動スタジオを持ち込んで録音された。プレッシャーのかかるスタジオとは異なった、リラックスした最高のムードで作られていったという。

「天国への階段」の最初のパートは、1970年にウェールズのスノウドニアの小屋、ブロン・イ・アーで過ごしたある晩に浮かんできたという。そしてこのヘッドリィで構想を練り上げるが、曲作りにはかなり時間がかかった。途中からテンポが加速するといったことは、当時のレコーディングではめったになく、当時としてはかなり複雑な曲だった。曲の後半からボンゾのパワフルなドラムを入れることで、高揚感を倍増させるが、ペイジは、音楽的なあらゆる要素を融合させつつ、全体としては何かとても親密なものから壮大なものへとクレッシェンドしていく感覚を表現したかったと言う。



プラントは暖炉の前でペイジが弾くコードを聞き、急に手が動いて歌詞を書き始める。ちょうどいい時にそこへ腰を下ろしたといった絶好の瞬間だったという。不自然なくらい何の苦もなく歌詞は完成したが、まさにその時期に生まれるべくして生まれた曲だったのだろう。

この歌詞は、当時プラントが読んでいたルイス・スペンスの『The Magic Arts in Celtic Britain』からインスピレーションを得ていて、この本から借りた語句が散見する。ケルトの吟遊詩人たちが、導入部分で楽器を静かに弾きながら、英雄たちのプロフィールを紹介し、だんだんと物語を盛り上げていくように、ロバート・プラントはケルト神秘主義の彼方から現れたのかもしれない。



「天国への階段」のステージでの演奏は、『フォー・シンボルズ』の発売より早く、71年3月5日にベルファストのアルスター・ホールで行われている。また、71年9月の日本公演でも披露されている。71年11月8日のアルバム発売後は、LAフォーラムが初演となったが、そこでは大勢の観客が立ち上がって拍手喝采したという。

「天国への階段」は、ロック界以外の音楽業界からも評価が高く、クラシック界の巨匠カラヤンは「私がオーケストラで演奏するとしても、これ以上のアレンジを必要としない名曲」と絶賛している。

 Led Zeppelin : Stairway To Heaven(DVD version)
 Led Zeppelin : Stairway To Heaven(The Song Remains The Same version)
 Led Zeppelin : Stairway To Heaven(Live Aid version)

banner_03.gif

Led Zeppelin:Stairway To Heaven ※画像をクリック
レッド・ツェッペリン / Led Zeppelin IV [Remastered]
レッド・ツェッペリン Led Zeppelin / Led Zeppein (4CD Box)
LED ZEPPELIN DVD
posted by 上村龍司 at 17:17| Comment(0) | TrackBack(0) | ハードロック | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月01日

無料音楽でロックを考えてみた。

いい音楽もできたら無料で楽しんでみたい・・・ということで、無料音楽なのだが、以前には考えられなかったが、今では非常にお手軽だ。なんせ、ユーチューブという味方がいる。ユーチューブを利用して、無料で音楽を楽しんでみたらと思うのだ。

ここでちょっと紹介したいのが、このサイト。iPod関連だが、YouTubeも忘れてはいない。

 音楽無料ダウンロードとiPodの使い方裏技!
 ユーチューブから教わるipod動画入れ方講座発見!

う〜ん、ローカル局や深夜番組で音楽動画にかじりついていた時代はいつのことか。
なんせ昔はフィルム・コンサートなんてものもあったのだ。
今では「無料音楽」って、動画で楽しめるのだなぁ。。。てなことで、このブログが始まります。

banner_03.gif

音楽無料ダウンロード本 ※画像をクリック
音楽ファイル無料!ダウンロード術入門篇
音楽ファイル無料ダウンロード術
すごいファイルサイトの歩き方
posted by 上村龍司 at 15:49| Comment(0) | TrackBack(0) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする