「ちっ、ドジ踏んだぜ・・」
肘と膝にできたすり傷を見ながら、そう思った。ここはエジプトのルクソール。ナイル川西岸の遺跡巡りで、ワシは自転車をこいでいた。
ナイル川西岸の遺跡巡りは、自転車がお手頃。なんせ広い地域を巡るには、ろくに車などないわけなので、自転車が速くて快適なのだ。実際手際よく、メムノンの巨像、メディネト・ハブ、ラムセウム、ハトシェプスト女王葬祭殿と見て、到着したのがセティ1世葬祭殿。そこで瓦礫の山に乗り上げ、こけてしまった結果が肘と膝の傷だった。そのひりひりした痛みに、ハトシェプスト女王葬祭殿の美しい印象がぼやけていった。
しかし、ルクソールの青い空が、そんなブルーな気分を吹き飛ばしていった。ルクソールの空は濃い深みのある美しい青。そんな空を見上げながら、気を取り直して、ワシは王家の谷に向けて自転車をこぎ始めた。
王家の谷へは、左回りのゆったりとしたカーブを描く上り坂の道。からっと乾燥した空気が汗を吹き飛ばして、快適な気分に変えていく。限りなく青い空、強い日射し・・・そんなとき頭の中に聞こえてきたのが、レッド・ツェッペリンの「In the Light」。
「In the Morning」という似たスタイルのリハーサル・ナンバーから発展したこの曲。ギターのオーバーダビングとキーボードの重厚なアレンジによって、ドラマティックに仕上がっている。ジミー・ペイジはこの曲を、「フィジカル・グラフィティ」の中で一番好きなナンバーとしているそうだ。
・・・そそり立つ岩山から覗く青い空に、輝く太陽。赤茶けた岩山と青い空のコントラストを色濃くする光。王家の谷に至る道は、まさに「In the Light」にぴったりの光景が続く。この道が探し求めていた道なのか・・・ロバート・プラントのポジティブな歌声が頭の中にこだまする。カノン的に増幅するジミー・ペイジのギターは、まさに降り注ぐ光のシャワーだ。
光の中に
みんな光を求めてる
光、光、光、光の中に……
Led Zeppelin : In The Light (In The Morning)
Led Zeppelin : In the Light (Alternate version)
Led Zeppelin : In My Time Of Dying
Led Zeppelin : Trampled Under Foot
Led Zeppelin : Trampled Under Foot (promo)
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