ワシが高校のとき一番多く聴いたのは、レッド・ツェッペリンの「天国への階段(Stairway To Heaven)」、大学のとき一番多く聴いたのは、ジェネシスの「サパーズ・レディ」だった。この2曲がロックの名曲であることは間違いないが、この2曲について何か書いてみようと思うのだ。まずは「天国への階段」である。
「天国への階段」については、ウィキペディアの記事「天国への階段(楽曲)」と、『レッド・ツェッペリン――天国への階段』(シンコー・ミュージック)、『ストレンジ・デイズ No.65』、『アエラ・ロック・ハード』を参考にして、我龍でまとめてみたい。

「天国への階段」が入っているレッド・ツェッペリンの4枚目のアルバムは、ジャケットにタイトルもグループ名も何の文字もないが、これは「純粋に音楽だけで勝負したい」という彼らの熱意を表している。内袋に印刷された4つのシンボル・マークが謎かけとしてとらえられ、このアルバムは「ルーン・アルバム」、「ZOSOアルバム」、または「レッド・ツェッペリンW」、「ステアウェイ・アルバム」などと呼ばれたが、メンバーの間では「フォー・シンボルズ」と呼ばれていた。
ロバート・プラントのシンボルは、自らがデザインしたもので、ムー大陸の神聖なシンボルから描き出したもの。インディアンの間では羽毛を勇気の象徴としている部族も多いという。ジョン・ボーナムのシンボルは、古代ルーン文字の書物から選んだもので、三つの輪は「男・女・子供」を指し、三位一体を連想させる。ジョン・ポール・ジョーンズのシンボルも、古代ルーン文字の書物から選んだもので、自信に満ちた有能な人物を表す。ジミー・ペイジのシンボルは、自らがデザインしたもので、それが“ZOSO”という単語だと受け取られたが、実際は別物のつもりだった。そして、こうしたタイトル云々といったものがマスコミを混乱させる作戦の一つにすぎなかったと明かしている。
表ジャケットに使われた老人の絵画はプラントが手に入れてきたもの。その絵画が廃墟の壁に掛けられ、裏ジャケットではその廃墟の壁の向こうに、取り壊されるばかりとなった公営住宅とそびえ立つ高層建築といった再開発中の街が描かれる。これは、自然と調和した状態にある薪を背負った老人が、山小屋を撤去され、都会のスラムに無理矢理住まわされてしまう様を表すという。内ジャケットには、岩山の上に立つ隠者とそれを仰ぎ見る若者が描かれる。タロットカードで隠者は“一歩退いたり、熟考したりすることなく、現行の道をそのまま進むことへの特別な警告”とされ、その隠者が“真実と啓示の光”を、ふもとにいる若者にかざしている。内袋には、4つのシンボルと曲名、そして「天国への階段」の歌詞が記されている。

『フォー・シンボルズ』は、1971年の初め、ハンプシャーの田園地帯にある邸宅ヘッドリィ・グランジに、ローリング・ストーンズ所有の移動スタジオを持ち込んで録音された。プレッシャーのかかるスタジオとは異なった、リラックスした最高のムードで作られていったという。
「天国への階段」の最初のパートは、1970年にウェールズのスノウドニアの小屋、ブロン・イ・アーで過ごしたある晩に浮かんできたという。そしてこのヘッドリィで構想を練り上げるが、曲作りにはかなり時間がかかった。途中からテンポが加速するといったことは、当時のレコーディングではめったになく、当時としてはかなり複雑な曲だった。曲の後半からボンゾのパワフルなドラムを入れることで、高揚感を倍増させるが、ペイジは、音楽的なあらゆる要素を融合させつつ、全体としては何かとても親密なものから壮大なものへとクレッシェンドしていく感覚を表現したかったと言う。

プラントは暖炉の前でペイジが弾くコードを聞き、急に手が動いて歌詞を書き始める。ちょうどいい時にそこへ腰を下ろしたといった絶好の瞬間だったという。不自然なくらい何の苦もなく歌詞は完成したが、まさにその時期に生まれるべくして生まれた曲だったのだろう。
この歌詞は、当時プラントが読んでいたルイス・スペンスの『The Magic Arts in Celtic Britain』からインスピレーションを得ていて、この本から借りた語句が散見する。ケルトの吟遊詩人たちが、導入部分で楽器を静かに弾きながら、英雄たちのプロフィールを紹介し、だんだんと物語を盛り上げていくように、ロバート・プラントはケルト神秘主義の彼方から現れたのかもしれない。

「天国への階段」のステージでの演奏は、『フォー・シンボルズ』の発売より早く、71年3月5日にベルファストのアルスター・ホールで行われている。また、71年9月の日本公演でも披露されている。71年11月8日のアルバム発売後は、LAフォーラムが初演となったが、そこでは大勢の観客が立ち上がって拍手喝采したという。
「天国への階段」は、ロック界以外の音楽業界からも評価が高く、クラシック界の巨匠カラヤンは「私がオーケストラで演奏するとしても、これ以上のアレンジを必要としない名曲」と絶賛している。
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